花筏。
春風の悪戯に宙をはらはらと舞う姿。
桜が一番美しい姿だと思う。
桜って、ピンクの蕾から咲き始め、満開、散り始め。そして散った後まで美しい。こんな花は他にない。
やはり、日本の心なんだ。
福井城址のお堀端の桜も強い春風に、雪のように舞っている。
風向きが変わるたびに、無数の花びらが全身に人懐っこくまとわりついてくる。
まるで、花びらのシャワーを浴びているようだ。
「最後まで私を愛でて」
刻一刻と水面の花筏は姿を変える。
渦を巻いたと思えば、右に左にゆらゆら。
そんな筏にカモたちが乗っているように、放射状に波紋を残す。
なんと風流な光景なんだろう。
早朝5時。
東の空に明けの明星が瞬いている。夜明けが近づくにつれ、姿を消していく。
誰もいないお堀は春とは思えないほど冷え込んで、ピーンと張り詰めた空気感は真冬並みだ。
夜明け前。暁のころが最も風景が神秘的に見える時。
風も波も穏やかで時が止まっているようだ。
一羽のトンビが、オレンジ色から濃紺のグラデーションを見せる空に、くるりと輪を描いた。
きっと花見と洒落込んでいるのだろう。
昼間と早朝では、これだけ雰囲気が違う。
カモたちが、ガアーガアーとお目覚めだ。その鳴き声でさえ、ビル群にこだまして幻想的だ。
日本人で良かったと思う瞬間だ。
4月13日 7.22キロ 78.71キロ
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