そこにあるはずの文殊の山はすっぽり霧の中。360度真っ白の世界に迷い込んだ感じ。
還暦が目前に迫り、定年ももう目の前。第2の人生の設計はやりたい事があり過ぎて、何も見えない状況。彷徨える子鮪。
思い切って飛び出すか。安定を望むのか。
安定…
「俺らしくないやろ」
深い霧を突き破って朝陽がパァーッと差し込んできた。
「さあ!」
春告鳥、雲雀も咲き出した菜の花畑から一斉に飛び立って、忙しなく囀っている。
「こっちだよ」
今の気持ちを察したのか。
朝陽は標のように。
雲雀は第2の人生の扉に導くように。
「そうだよな」
まず最初にやりたい事があります。
写心展。
もう何年も温めていたこと。大病から生還して、タイミングを模索していた。
観てもらいたいのは勿論なんだけど、いろんなこと話したい。そんな思いが大きい。
写心のこと。
病気のこと。
闘いのこと。
ようやく心の中で動き出した。
3月12日 5キロ 49.2キロ
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