月と金星が逢瀬を楽しむ頃、
遙か西の彼方の地平線と区別がつかなかった真っ暗な雲が動き出します。
やがて、〝二人〟を飲み込んでゆきます。
切ない切ない夜更は、どんどん更けてゆきます。
明日はきっと晴れる。
星に願って、眠りにつきます。
カーテンの向こう側が、なんとなく気になる朝、飛び出せば、
昨夜の雲は立ち去り、
暁のグラデーションが、青空を染めています。
これからのひと時。
写人が、あなたにお送りします写心の定期便「maguroストリーム」。
皆様のお供を致しますカメラマンは、わたくし、福田正美です。
宵の明星が細い三日月に寄り添います。
運転席からウィンドウ越しに見る〝二人〟は、
一目も憚らずにデートを楽しんでいるようです。
そんな話を母親にすると、
はにかみながら、話出します。
「パパが、あたしを東京まで追いかけてきて同棲していた世田谷のアパートで、お兄ちゃんが生まれまんや」
「パパは、お兄ちゃんが可愛くて可愛くてしょうがなくて、お金ないのにいろんなもん買ってきたんや」
「映画のキャメラマンって、給料安かったんか」
「ほや。大蔵省造幣局のあたしの方がいっぱいもろてたんや」
「近くの馬事公苑によく出かけていて、みんなに、『よく笑う子やね』って言われてたんやよ」
数秒前のことは忘れる母ですが、
昔の話になると饒舌になります。
何時間聴いていても飽きない息子です。
「もう寝る時間や」
まだまだ話し足りないと言いたげな顔をします。
楽しい時間はあっという間に過ぎます。
そんな夜です。
そんな楽しい夜から一夜明ければ、
文殊の山から朝日が昇ります。
山麓に広がる菜の花畑に日が差し込めば、目覚めたばかりの黄色い花の絨毯は、一層鮮やかさを増します。
春はもうそこまで。
そんな気配が漂う日の出です。
少々気が早い虫が、
まだまだ、ぎこちない足取りでうろうろ。
暫し、戯れていると、
気がつけば、低い朝日は天辺近くに昇っていました。
新型コロナウイルスのことは忘れた、ゆっくりな休日でした。
お送りしましたこの写心が、あなたの心に美しく溶け込みますように。
写人がお届けしました写心の定期便「maguroストリーム」。
皆様のお供を致しましたカメラマンは、わたくし、福田正美でした。
3月2日 6.61キロ 🏃♂️13.46キロ
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