絹のような透き通ったベールを纏った満月が、
東の彼方の空にぽっかり浮かぶと、
西の彼方に夕日が沈みます。
名残灯に照らされた白山連峰の頂が、
月明かりで一層白く輝きます。
一夜明けた夜明け前、
同じ満月が西の空に落ちてゆきます。
輝きに力をなくした満天の星たちが、一つ消え二つ消え。宇宙の営みを告げています。
区別がつかなかった地上と空が、山並を境に瞼に浮かび、
星座の物語が聞こえて参ります。
これからのひと時。
写人が、あなたにお送りします写心の定期便「maguroストリーム」。
皆様のお供を致しますカメラマンは、わたくし、福田正美です。
仕事帰りの道すがら、
福井城址お堀端から、
真っ白に輝く白山連峰を照らし始めた、透き通るような満月が姿を見せました。
低くて、冷たい、大きな満月です。
令和2年初満月。
別名ウルフムーン。
確かに、寒さ雪の中で獲物を狙うウルフのようです。
それでも、ほんのり頰を染めた月は、気持ちを暖かくしてくれました。
また一枚、心の美術館に〝名画〟が収蔵されました。
家路を急ぎます。
到着すると、
母親が窓を開けて〝名画〟観賞してました。
「ひっで、綺麗なんやって」
「ほやほや。満月や」
「カーテン閉めてたら、眩しくて」
「大袈裟な」
レースのカーテン越しに観ていたようですが、
あまりに綺麗なので窓を開けたようです。
「この部屋は特等席やの。お月さんも朝日さんも、かぶりつき」
息子は、
満月より朝日より、
綺麗なものに敏感に反応する母の姿が、一番綺麗だと思っています。
嬉しさの余韻に浸って眠りについた夜でしたが、
目覚めると、その満月と朝日にどうしても会いたくなりました。
下市山ミルキングロードへ車を飛ばします。
西の空に、煌々と輝いたまま落ちてゆく満月に向かって、
一筋の飛行機雲が伸びています。
まるで月行きの一番機のようです。
振り向けば、東の空が赤く燃えてきました。
追いかけるように朝日が昇ってきているのでしょう。
山並上空にかかった雲が、その姿を阻みます。
けたたましくスマホが鳴ります。
母からの定期便が、日の出を告げています。
「今日、仕事やろ。早よ帰ってきねま」
「はいはい。風呂のスイッチ入れといて」
「おっけー」
えっ。
おっけーって…。
日に日に明るくなっていく母親です。
お送りしましたこの写心が、あなたの心に美しく溶け込みますように。
写人がお届けしました写心の定期便「maguroストリーム」。
皆様のお供を致しましたカメラマンは、わたくし、福田正美でした。
1月11日 7.56キロ 🏃♂️48.56キロ
#ルーティーン #ラン #running #run #2020 #風景