満天の星が降り注ぎ、物音一つしない夜のしじまに身を投げ出せぱ、
星たちの囁きが、一日の始まりを告げています。
早朝の静寂のなんと饒舌なことでしょうか。
文殊の頂に向けて歩みを進めるとき、堪えきれずにキャップの隙間から、大粒の汗が滴り落ちます。
やがて、東の空がオレンジ色に染まり出せば、早起き日暮の大合唱の幕開けです。
頂に立てば、やがて、霞んだ白山から昇る真っ赤な陽の玉が、瞼の奥に浮かんで参ります。
陽出づる国。
太古から古たちが育み親しんだ国。
実感するに相応しい夜明けです。
これからのひと時。
写人が、あなたに送る写心の定期便「maguroストリーム」。
皆様のお供を致しますカメラマンは、わたくし、福田正美です。
「まだかなあ」
「これだけ霞んでいると無理かも」
「いや、夕陽のような真っ赤な朝陽が見られるはず」
「白山から?」
「そだね」
「でももう、日の出時間の5時3分は過ぎてるからなあ」
「やっぱり無理かあ」
「白山は見えてるのになあ」
「白山の向こう側の雲が厚いんだな」
「あっ、白山上空の雲が輝きだしたっ」
「もしかしたら出るかも」
「キタァー!」
「おお」
遠い地平線が消えて、街の灯りが星の瞬きと区別がつかなる時、日の出を待つ時間のなんと長いことでしょうか。
墨絵のように霞んだ山並みが心を癒してくれます。
呼吸が穏やかになってゆきます。
日の出時刻より遅れること15分。
白山の頂を真っ二つにするように真っ赤で真ん丸の朝陽が顔を出しました。
ゆっくり、堂々と。
威風堂々の姿から解き放たれる光は、山々を越えてあっという間に体内に溶け込んでゆきます。
文殊山で朝食を!
今朝はフルーツ盛り合わせ。
陽を浴びて頂くコンビニパック朝食は、三つ星朝食に早変わり。
贅沢で至高のひと時となりました。
真っ赤に染まって記念撮影。
これぞ誠の記念写心です。
デイケアデビューの母親を送り出した朝です。
今朝のルーティーンを終えて帰ると、不安そうな母親がいました。
「大丈夫だよ」
諭しながら、タオル、下着の変え、歯磨きセット、薬などをバックに詰めて、
「楽しんできねの」
今頃は、ゆったりお湯に浸かってあるのでしょうか。
そんな光景を思い浮かべながら、仕事に向かう朝です。
お送りしましたこの写心が、あなたの心に元気とともに美しく届きますように。
写人がお送りした写心の定期便「maguroストリーム」。
お供を致しましたカメラマンは、わたくし、福田正美でした。
8月2日 5.30キロ 5.30キロ
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