満月の中秋の名月が雲間に見え隠れしながら、西の空へ消えてゆきます。
天頂にはオリオン座が瞬いています。
その輝きも上空を流れる雲が飲み込んでゆきます。
やがて東の空が白み始めると、名月もオリオン座も完全に姿を消しています。
写人が、あなたにお送りします写心の定期便「maguroストリーム」。
皆様のお供をいたしますカメラマンは、わたくし、福田正美です。
「お前、もうそろそろ一生を終えるんやなあ」
どこからやって来たのか、マイカーレッドプリウス通称赤プリの天井に一匹の蟷螂が、夜露に濡れながらピクリともしません。
「寝ているのかしら」
「お前も中秋の名月愛でていて眠たいんか?」
目を覚ましたばあさんも見つけました。
「逃がしてあげね」
「寝てるんやって。起こしたらかわいそうや」
東の空から朝日が顔を出すと、ゆっくり動き出します。
流してあげようと手を伸ばすと、鎌を持ち上げて威嚇します。子どもの頃は平気で掴んでいましたが、意外に怖いものです。
最後は、摘んできた曼珠沙華の茎にちゃまらせて、庭の草むらへ放ちました。
「残り僅かな〝人生〟ゆっくり過ごせよ」
早朝、〝3人〟で愉快な時を過ごしました。
何故か幸せなひと時でした。
お送りしましたこの写心が、あなたの心に美しく溶け込みますように。
写人がお届けしました写心の定期便「maguroストリーム」。
皆様のお供をいたしましたカメラマンは、わたくし、福田正美でした。