久しぶりに燦々と降り注ぐ太陽の光に心躍らせて駆け抜ければ、
ウエストサイドからの爽やかなフォローウインドウが後押ししてくれます。
そして、流れ落ちる汗の球を後方に置き去りにします。
写人が、あなたにお送りします写心の定期便「maguroストリーム」。
皆様のお供をいたしますカメラマンは、わたくし、福田正美です。
早朝の自転車ローリングでは我慢できずに飛び出せば、
長雨で鈍った体に鞭を入れます。
長雨に忘れかけていた束の間の青い空吸い込まれそうになります。
今年90歳の卒寿を迎えた母親は、黒を基調とした精一杯のお洒落をして、ご先祖さまに手を合わせます。
76年目の終戦記念日。
14歳で迎えた母親は90歳。
帰りの車中、当時の話を始めます。
ずっとずっと話し続けます。
1秒前のことは忘れてしまうのに。
「スタバ飲みたい」
ひとしきり話した母親は喉が渇いたのでしょう。
それにしても、いつ覚えたのか。スタバ…
たっぷりシロップのミルクの入った母親スペシャルを飲みながら話の続きを始めますが、
後ろの席の若い女性2人の笑い声が、黙飲黙食で静かな店内に響き渡ってかき消されます。
業を煮やした客たちが冷ややかな目線を浴びせ始めます。
我慢できずに声を上げようとした瞬間、
「静かにしなさいッ!」
母親です。
周りの客たちが一斉に微笑みかけます。
久しぶりに聞いた母親の一撃でした。
子どもの頃、何度聞いたことか。
そんなお盆の昼下がりでした。
お送りしましたこの写心が、
あなたの心に美しく溶け込みますように。 写人がお届けしました写心の定期便「maguroストリーム」。
皆様のお供をいたしましたカメラマンは、わたくし、福田正美でした。