24年前の昨日、終息宣言が出されました。
新年が明けてから丸4カ月、三国通いの日々。
全身油まみれになりながら早朝から夜中まで、
海にレンズを向ける毎日。
厳冬の日本海から吹き付ける風が、1時間で真っ白のマスクを真っ茶色に変えました。
福井県沖を漂流しているとの一報を受けて、ヘリで三国沖に向かいました。
「このまま北へ向かうな」と。
安心して空港に帰還して間もなく、
信じられない情報が飛び込んできました。
翌日、三国町安島の現場に到着すると、我が目を疑いました。
毒毒と黒い重油を吐きながら波に漂う〝魔物〟が、目の前に漂着していました。
海は真っ黒でテカテカ光っていて、この世のものとは思えない光景でした。
そして、真っ白の体半分を真っ茶色にして、厳しい寒さにじっと目を閉じて耐える水鳥たちの痛々しい姿が目に飛び込んできました。
必死にシャッターを切ろうと思うのですが、中々切ることができません。
36枚撮りのフィルムに残っていたのは、たった3枚でした。
あれから24年。
地元の漁師、海女さん、大勢のボランティアたちが、バケツと柄杓で立ち向かい、海岸の石一つ一つを布で磨きました。
今ではそんなことも忘れてしまうくらい綺麗な海原が広がり、浜辺には浜大根の真っ白な絨毯が波のように咲き誇っています。
忘れてはいけないのです。