立冬の朝は雨上がり。
力尽きた秋の名残たちが、
ピクリとも動かず、最後の輝きを放っています。
遠くから踏切の警報機がわずかな風に乗ってきます。一番電車の枕木を越す音が追い掛けます。
これからのひと時。
写人が、あなたにお送りする写心の定期便「maguroストリーム」。
皆様のお供を致しますカメラマンは、わたくし、福田正美です。
文殊の山並み上空の雲が黄金色に染まり始めるとき、
光芒が、やがて昇るであろう朝日の到来を告げています。
好天を予感させる大空に、旅の途中の冬の使者が南へと飛び去ります。
馴染みの柴犬が、懐っこく足元で戯れます。
「じゃあな」
名残惜しそうに見上げる眼差しが、再開の一歩を躊躇わせます。
冬の味覚の王様「越前がに」が解禁になり、漁港は活気に溢れています。
今年は、最高級ブランド「極(きわみ)」の水揚げはなかったようです。
最高級の証、黄色のタグ。その中でも幻と言われる極。GIと合わせてトリプルタグを見られなかったのはとても残念ですね。
道の駅の水槽で売っていた昨年の極。
0が四つです。
通常の約10倍の値ですね。
重さ1.5キロ以上、甲羅の大きさ14.5センチ以上、爪の幅3センチ以上。
厳しい基準を満たした越前がにだけに与えられる称号です。
大きさをクリアしたものはあったようですが、競り人が質で判断したようです。
妥協を許さないプライドですね。
やっぱり、王様ですね。
長生きの赤トンボと黄蝶が、体の周りを舞ってついてきます。
季節の移ろいの名残のようで、どこか寂しげです。
お送りしましたこの写心が、あなたの心に美しく溶け込みますように。
写人がお届けいたしました写心の定期便「maguroストリーム」。
お供を致しましたカメラマンは、わたくし、福田正美でした。
11月8日 8.84キロ 35.01キロ
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