白々と夜が明ける頃、今にも泣き出しそうな空は青みを増してゆきます。
誰もいないホームのスピーカーが、上り一番電車の到着を告げています。
車窓の風景はどんどん明るさを増すものの、太陽は姿を見せません。
やがて、峠の真下を走る13キロ以上に及ぶトンネルに、深い闇の世界へと突入します。
目を閉じると威勢良く御輿を担ぐ人たちの躍動する姿が、瞼に浮かびます。
十数分後、トンネルを抜けると、真っ青な空が、真夏のような暑さを予感させています。
これからのひと時。
写人が、あなたにお送りする写心の定期便「maguroストリーム」。
皆様の、お供を致しますカメラマンは、わたくし、福田正美です。
氣比神宮の氣比の長祭。
2日に宵宮祭から始まって、昨日、神幸祭の神輿巡行渡御に参加してきました。
大改修された大鳥居をゆっくりくぐります。
台風被害に遭った本殿入口の中鳥居は、まだありません。
早朝、担ぎ棒が施された御輿の天辺には、すでに鳳凰が取り付けらて、準備万端鎮座しています。
さあ!長い1日の始まりです。
真夏のような日差しに、捻りの上の頭には大粒の汗が浮かんで、月の逆クレーターのようです。
まだまだ元氣です。
途中、地区内の北野天満宮に立ち寄り。
天満さんの御神輿も毎年担いでいます。
素肌の法被は、もう汗でびしょ濡れで透けています。
地区内を担いで回ってた4基の御神輿は、氣比神宮前に集結。
各地区競って自慢のパフォーマンスを披露しました。
祭男、最大の見せ場です。
平日でちょっぴり寂しい渡御でしたが、敦賀から元氣を発信できたと思います。
日が傾く頃、一匹のバッタが御輿を見送ります。
最後の力を振り絞って、御輿を担ぎます。
担ぎ終わった御輿から、静かに鳳凰が取り外されます。
爽やかな風が吹き抜ける路地で、地区のおもてなし直会が催され、寿司に舌鼓を打ちながら酒を酌み交わし、話に花を咲かせます。
8時間に及ぶ渡御を無事終えた達成感と満足感に、皆のいい顔が広がります。
帰りの道中、氣比さんの境内にある屋台で名物「敦賀ういろ」を、ばあさんへの土産に買い込みます。
列車に揺られていると、心地よい疲労感が眠気を誘います。
行きと同じ長いトンネルを抜けると、暗闇が広がって区別がつかなくなっています。
お届け致しましたこの写心が、あなたの心に力強く元氣を届けられますように。
写人がお送りした写心の定期便「maguroストリーム」。
お供を致しましたカメラマンは、わたくし、福田正美でした。