夜明け前の街中に飛び出せば、
よほど風がなかったのでしょうか、
刈り取りが済んだ田を焼く香ばしい匂いが漂って鼻先をくすぐります。
辺りが白み始める頃、遠い地平線の遥か上空のうろこ雲が隙間に、
明けの明星が、〝また明日〟と、
少しずつその姿を消してゆきます。
写人が、あなたにお送りします写心の定期便「maguroストリーム」。
皆様のお供をいたしますカメラマンは、わたくし、福田正美です。
お彼岸の中日。
母親と二人、御前米を納めた後、手を合わせます。
「二人で来るのもあと何回やろな。これからも頼むの」
「俺もあと何十年守れるかな」
花を添え、お墓に水を掛けながら、そんな話をしていると、
サァーっと秋風が吹き抜けました。
千の風になって、来てくれたのでしょうか。
敬老の日。
母親を連れ出して、4周年を迎えた友人のお店へ、お祝いと共に。
予約しておいた席には、
「祝 敬老の日」の贈り物がそっと置いてありました。
日頃、スーパーの惣菜と、拙い男料理ばかりなので、この日はここの料理と決めてました。
思いがけず、母親人生初のウニの登場に、
「こんな高級なもん食べたことないわあ」
と、恐る恐る口に運びます。
あとどれくらい時間があるかわかりませんが、
いっぱいいっぱい、経験させてやりたいと思っています。
割烹着姿の友人が、なぜか眩しく見えました。
二人での墓参り、米国アクション映画鑑賞、外食。
慌ただしい一日は時が過ぎるのが早いです。
母親は満足そうに、
「もう眠たいで寝るわの」
午後8時過ぎに寝室に消えてゆきました。
そんな後ろ姿を見ていたら、息子も瞼が重くなってきます。
お送りしましたこの写心が、あなたの心に美しく溶け込みますように。
写人がお届けしました写心の定期便「maguroストリーム」。
皆様のお供をいたしましたカメラマンは、わたくし、福田正美でした。