文殊の山並みの彼方の空が、
暁のグラデーションに染まる朝、
細い三日月と明けの明星が、
やがて昇ってくるであろう朝陽にオレンジ色に染まります。
そんな神秘的な宇宙の営みに身を投げ出すと、
静寂の中から万物たちの囁きが聴こえて参ります。
写人が、あなたにお送りします写心の定期便「maguroストリーム」。
皆様のお供をいたしますカメラマンは、わたくし、福田正美です。
卒寿を半年後に控えた母親を、
とっておきのスポット「青の洞窟」へ連れて行ってきました。
今シーズン最後のチャンスだった夏の終わりの洞窟は、最高の輝きを放っていました。
ずっと悩んでいました。
危険かな。無謀かな。何かあったらどうしよう…。
でも!どうしても見せたかったのです。
この美しさを。
来る日も来る日も、様々な状況を想定してイメージトレーニングしました。
2人乗りのカヤックに母親を乗せ、いざ!
海岸からゆっくり海原に艇を進めると、
最初、「怖い怖い」と不安顔だった母親の表情が一変したのは、
手を伸ばせば届きそうな海面にプカリプカリ浮かぶ、いっぱいのカモメたちを見た時です。
「ひゃ〜、かわい〜」
それからは終始笑顔で波に揺られてました。
「さあ、(洞窟の中に)入るよ」
「あ〜、グリーに輝いてる。綺麗〜。あそこに行くんか」
「ほや。ゆっくり行くでの」
「あや〜、すごいなあ〜」
甲高い声が洞窟に、いつまでも木霊してました。
二人、時の経つのを忘れてました。
「連れて行ってやりたい」
夢が叶いました。
コロナ渦で、出掛けるといえば、週3回のデイサービスだけで、元気がなくなる顔を見るのが辛かったので、
思い切ってフランス料理フルコースへ。
「何十年ぶりやろ」
慣れない手つきで悪戦苦闘しながら美味しそうに舌鼓を打ってました。
夜の帳が落ちるころ、友人が奏でるマリンバの音色が響き渡る中、
2度目の乾杯。
そして、敬老の日。
そば打ちの先生が腕を振るう店へ。
日々少しずつ体重が減っていくばあさんですが、すごく満足だったらしく次々と出てくる料理を「美味しい美味しい」といっぱい食べてくれました。
還暦を過ぎて弾力がなくなった胃袋が悲鳴を上げました。
来年の3月で卒寿を迎えます。
まだまだ人生の卒業には早過ぎる。
これからいっぱいいっぱい夢を叶えてゆきたいです。
お送りしましたこの写心が、あなたの心に美しく溶け込みますように。
写人がお届けしました写心の定期便「maguroストリーム」。
皆様のお供をいたしましたカメラマンは、わたくし、福田正美でした。