梅雨らしいどんよりとした厚い雲に心が沈む時、
僅かな雲間から、ほんの一瞬さした光の帯が心を晴らしてくれます。
深くなり始めた木々の葉を揺らす風に心を開けば、
季節の移ろいを感じる朝の光景の、なんと饒舌なことでしょうか。
一瞬で消えた梅雨空の向こうの朝日が、瞼に浮かんでまいります。
これからのひと時。
写人が、あなたにお送りする写心の定期便「maguroストリーム」。
皆様のお供を致しますカメラマンは、わたくし、福田正美です。
来月20日、講師をさせていただく写真ボランティアカメラ講座の申し込みが今月15日から始まったのですが、2日間で定員に達してしまったようで、改めてボランティア、写真への関心の高さと責任を感じています。
この講座は福井国体に合わせても何回かさせていただきました。
「会場で僕を見かけたら、是非声掛けてください」
競技会場で何人もの生徒さんに声を掛けてもらいました。
「初めてで不安でしたが、福田さんの顔見たら、フゥーっと肩の力が抜けました」
やはり、心に寄り添うというのは大事だなあって改めて感じていました。
そして、今回の最大のテーマは「心に寄り添う撮り方」。
カメラマン人生38年、常に意識してきたテーマです。
「写真はカメラで撮るのではない。心で撮るんだ」
僕は撮影中、カメラを向けている時間が極端に短いカメラマンです。90%以上、被写体を見ているか、心で語り掛けてます。シャッターを切るまでに何時間も掛かることも多々あります。
それは被写体がなんであってもです。
写心について2時間。伝えてこようと思っています。技術的なことは一切話さないつもりです。
参加された方はびっくりするかもですが。
神戸市で見かけた光景です。福井では考えられないのですが、都会では目にします。
粗大ゴミの中に捨てられた、ぬいぐるみが声を掛けてきたんです。小一時間話してました。
何を話したか。
クマのぬいぐるみの声が聞こえてきますか。
自宅を出るとき愛車のフロントガラスに一匹のカエルが。しばらく話しました。
「俺も連れていってよ」
近くの喫茶店まで連れて行きました。
何を話したか。
カエルの声が聞こえますか。
登山中に出会った国の天然記念物、ニホンカモシカ。
腰を下ろして、ジビエ料理のこと、数が増えたことなどいっぱい喋りました。
「じゃあな」
何を話したか。
カモシカの声が聞こえますか。
トレーニングラン中に羽化したばかりのトンボを見かけました。一生が物凄く短いことなど30分以上話しました。
別れる時、ちょこんと僕の頭に止まりました。
何を話したか。
トンボの声が聞こえますか。
大きい地震のニュースを伝える着信音が忙しく鳴ります。
心配した津波被害もなく、心から安堵する朝です。
お送りしましたこの写心が、今日もあなたの心に溶け込んでいきますように。
写人がお送りした音楽の定期便、「maguroストリーム」
お供をいたしましたカメラマンは、わたくし、福田正美でした。