syabito’s blog

写人です。走り回ること、山に登ること、写心を撮ることが好きで、人呼んで「鮪」と発します。

夜の帳が落ちて、
深々とした夜の闇に心を弾ませる時、
都会のビル群の谷間の上に、音もなく現れた細い月は、
今から始まる壮絶な闘いを告げています。

点々とする雲間に瞬く星を見上げれば、
これから繰り広げられるサバイバーたちの挑戦の、なんと饒舌なことでしょうか。
燦々と降り注ぐ太陽の下、戦い済んだ晴れやかな表情が瞼に浮かんでまいります。

これからのひと時。
写人が、あなたにお送りする
写心の定期便。「maguroストリーム」。
皆様のお供を致しますカメラマンは、
わたくし、福田正美です。

 

リレー・フォー・ライフ・ジャパン2019神戸

がんサバイバーたちが12時間走ったり歩いたりし、家族や友人、ドクター、市民ランナー、ボランティアたちとタスキをつなぐ。

アメリカ発祥で、がん患者やそのご家族を支援し、地域全体でがんと向き合い、がん征圧を目指します。
1年を通じて取り組むチャリティ活動。12時間で走った距離に応じて寄付をする。

もちろん福井でも行われている。

 

自分がサバイバーになった時から参加すると決めていた。

みんなのために。そして、自身のために。

まず、福井の大会は写心と記事で伝えた。

そして、今年、いよいよ参加だ。

なぜ神戸?

阪神大震災から24年経った神戸をこの目に焼き付けておきたかったのと、マラソン発祥の地だったから。それと、令和になって最初のリレー・フォー・ライフ・ジャパン。

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夜が明けた。

朝陽が東の空をオレンジ色に染める頃、一筋の飛行機雲が天に昇った。

夜通し走ってきたランナーたちは疲労が見えているが、懸命にタスキをつなげている。

僕はチームではなく単独走の部。一人でひたすら周回を重ねる。

疲労困憊で美しい夜明けも目に入らない。

残り5時間。

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朝日が昇ってきた。

いつものルーティーンと違い、気持ちに余裕がない。

ひたすら前を向いて走るだけだ。

青空の雲がサバイバーたちのパワーとなってうねっているようだ。

残り4時間。

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pm.20:45

キャンドルランスタート。

闇夜に浮かぶコンクリートジャングルの中の一周450㍍のオアシスを走り続ける。

スタート直後、まだまだ元気だから!ついペースが上がってしまう。

あかんあかん。

どんよりとした雲間から三日月が顔をのぞかせた。

応援してくれているのか。

残り12時間。

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「命があるからスポーツができる」

「いつまでも元気に走られますように」

「きょうも元気に走られますように」

決意や応援メッセージがずらりと並んでいる。

コースにはメッセージやイラストが描かれたルミナリエが途切れることなく灯っている。

キャンドルを灯して、がんで亡くなった⼈たちを偲び、 また、がんと闘っている⼈たちや対がん運動への思いや祈りを捧げるセレモニーだ。

全てに目を通した。

思わず涙が流れるメッセージばかりだ。

残り11時間。

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am8:45

いよいよゴール。

12時間の闘いがようやく終わる。

不思議だ。

残り1時間は、もう足が上がらず歩くことしかできなかったのに、スタート直後のような足取りの軽さだ。

みんな、晴れ晴れとした表情。ステキな笑顔が会場いっぱいにあふれた。

共に闘ったサバイバーの皆さん、支えてくれた家族、ボランティアをはじめ全ての人たちに感謝します。

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走行時間、12時間16秒。

走行周回、76周。

走行距離、34.2㌔。

大した記録ではないけれど、今の僕になって最高の完走証。

僕にとって一番の証は、目に見えない記録。

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これもまた闘った証。

乳首から血が出てた。

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走り終わってテントに戻ると贈り物が。

シートの穴からクローバーが🍀

まぢか。

と思ったら、三つ葉が重なって四つ葉に見えただけだった。

それでも、疲れた心身が一瞬で癒された。

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最後は歯磨き。

もう磨きたくて磨きたくて。

エイドでいろいろ食べたし。

日差しが眩しい。

世の中が黄色い。

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みんなで灯した「命」の「HOPE」。

風が強くて大変だったけど、徐々におさまって、夜通し、みんなを見守って輝いていたなあ。

 

ゆらゆらと風に揺れる命と希望の光は、
次第に星のまたたきと区別がつかなくなります。

お送りしましたこの写心が、美しくあなたの心に溶け込んでいきますように。

写人がお送りした写心の定期便、「maguroストリーム」
お供をいたしましたカメラマンは
わたくし、福田正美でした。

 

6月9日 31.12キロ 80.31キロ

#ルーティーン #ラン #running #run #2019 #風景 #福井